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犬山における「全国学力テスト」Q&A |
犬山市教育委員会
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○犬山では、「犬山の子は犬山で育てる」という考えのもと、子ども同士、子どもと教師との豊かな人間関係の中で、人アックの形成と「学力」の保障をめざして、少人数学級・少人数授業、副教本の作成・活用など、独自の教育改革を進めてきました。
○こうした状況のなか、国は全国的な学力調査の実施を決定しました。この調査は、教育の場に競争原理を導入しようとするものです。競争は、豊かな人間関係を育む土壌をなくし、子ども同士や学校間、地域間に格差を生み、拡大させます。
○犬山では、一連の教育改革の成果と課題を明らかにしようと、内部での検証を進めるとともに、外部からの検証も進めてきました。その結果、少人数による学び合いの授業は、子どもの人格形成と「学力」保障に有効であることが分かりました。また、同僚性に基づく教師の学び合いは、教師の専門性や資質・能力の向上に効果的であることが実証できました。
○「全国学力・学習状況調査」をはじめ、「教育バウチャー制(学校選択制・学校予算の傾斜配分)」「学校選択制」「教職員評価制度」「教員免許更新制」など、国が今積極的に推し進めようとしている教育施策は、ほとんどが競争原理の導入によって学校の活性化を図ろうとするものです。
○犬山では、これまでさまざまな場で全国学力・学習状況調査への対応について協議を重ねてきました。その結果、定例教育委員会において、競争によって学力向上を図ろうとするこの調査は、犬山の教育理念に合わないことから「実施すべきものではない」ことを決定しました。
○以下に、全国学力・学習状況調査への対応について「実施すべきものではない」とした犬山市教育委員会の考え方を説明します。
(1)「全国学力テスト」ってどんなしくみなの?
Q1 「全国学力テスト」ってどういうものですか?
「全国学力テスト」とは、「全国学力・学習状況調査」といって、国が今年4月24日、全国一斉に実施する調査です。全国の小学校6年生と中学校3年生のすべての児童生徒を対象に国語と算数・数学の2教科の学力テストと児童生徒と学校に対するアンケートから成ります。文科省は、教育と教育施策の結果を検証するために行う調査だと説明しています。
Q2 学習が、国語と算数・数学に集中してしまう心配はありませんか?
「読み書き計算など、日常生活やあらゆる学習の基礎となる内容を教える基本的な今日かであるため」と文科省は説明しています。地域や学校によっては、これらの2教科の学習だけを重視、他の教科や領域の学習を軽視するところが出てくることが心配されます。
Q3 小学校6年生と中学校3年生の4月に実施するのはなぜですか?
文科省は、小学校と中学校の最終学年としての結果を検証するためだと説明しています。最終学年の結果が知りたければ、各学校の教育課程を修了する年度末に実施するべきです。また、調査結果を指導に生かすのであれば、出来る限り早く結果を返す必要があります。4月に実施した調査結果が9月にならなければ返ってこないとすれば、その結果を指導に生かすのは困難です。
Q4 全児童生徒を対象とするのはなぜですか?
国の教育施策を検証しようとするのであれば、抽出調査で十分です。しかし、全自動生徒を対象とするのは、学級や学校、市町村や都道府県としての「数値」を示し、学校間や地域間に競争を促すことによって学力向上につなげようという考えが、その背景にるからです。
Q5 子どもたちにはどういった結果が返してもらえるのですか?
子どもには、各設問の正誤や個々の特徴や課題に応じて、指導の改善や学習の改善につながるコメント等を記載した個票を提供するとしています。それらは個人情報であり、管理の仕方や個人情報の漏洩が心配されます。
Q6 どうして「全国学力テスト」をやることになったのですか?
国際的な学力調査の結果から、ゆとり教育による日本の児童生徒の学力低下が私的されるよになりました。当時の中山文科相は、全国的な学力調査を実施し、その結果を公表することで競争によって学力を向上させる方針を示し、この全国学力テストを実施することが決定されました。
Q7 どうして「全国学力テスト」の結果を公表するのですか?
国は、国全体の状況と都道府県の状況を公表し、都道府県に対しては、市町村名や学校名を明らかにした公表は行わないとしてます。しかし、市町村や学校が、説明責任をはたすために結果を公表することについては、それぞれの判断に委ねるとしています。不開示情報扱いにするとはしていますが、地域住民や保護者から結果の公表を求められれば、市町村や学校はその結果を公表せざるをえなくなり、児童生徒間、学校間、地域間などの競争につながります。
Q8 実施する主体、参加する主体はどこですか?
調査の実施主体は国であり、参加主体は学校の設置管理者です。つまり、この調査は国が市町村教育委員会の協力を得て実施する調査なのです。したがって、この調査が子どもたちにとって有益かどうかを判断し、市町村教育委員会が参加するかどうかを決めるものなのです。
Q9 全国学力テストは、子どもや学校の負担になりませんか?
これまで、それぞれの市町村や学校では、個々の児童生徒の学習指導に生かしたり、指導法を見直して授業改善に生かしたりするために、独自に学力テストを実施してきています。その上、さらに学力テストを実施することは、児童生徒や学校に過度な負担をかけることになります。
(2)犬山は「全国学力テスト」をどう考えているの?
Q10 どうして犬山に「全国学力テスト」をどう考えているの?
全国学力テストは、犬山の教育づくりにとって無益どころか有害です。犬山の教育のねらいは、人格の形成と学力の保障です。少人数による学び合いの授業を通して、豊かな人間関係を育みながら、幅広い学力の形成に努めてきました。犬山の教育に競争原理を持ち込めば、学校は「競争」の場となり、豊かな人間関係を育む土壌をなくし、子ども社会や教師社会に格差を生じさせることになります。そして、学校には人格形成よりもテストの得点力を高める教育を優先することが求められるようになってきます。これまで豊かな人間関係の中で人格形成と学寮保障に努めてきた犬山の教育がなしくずしにされてしまいます。
Q11 実施しないと、どの程度の学力か分からないのではないでしょうか?
市内の小中学校では、個々の児童生徒の学力状況を把握し、指導に生かしたり、指導方法を工夫・改善したりするために「全国標準学力テスト」を実施してきています。全国的にどの程度の学力かを知りたいのであれば、このテストで十分に知ることができます。
Q12 「全国学力テスト」で、本当に学力は高められるのですか?
犬山が大切にしている学力は「自ら学ぶ力」です。自ら学ぶ力とは、「基礎的な学力を身につけ、家族や友達を台jにし、地域を支え、自分の人生を大切にするとともに、生涯にわたって自ら学び続けようとする資質や能力」です。「全国学力テスト」は、特定の教科の一部の学力を対象とした調査です。この自ら学ぶ力は、「全国学力テスト」によって測定することもできなければ、高めることもできないのです。
Q13 「学力」を高めるにはどうしたらよいのですか?
自ら学ぶ力を育むには、子ども主体のきめ細やかな授業を行うことによって、子ども自身に学ぶ喜びを体得させることが最も重要です。そのためには、少人数のもとで子ども同士、教師と子どもの豊かな人間関係を培い、生きる喜びと学ぶ喜びを実感させることが必要となります。競争によって学力を向上させようとするのは安易で安上がりな施策です。重要なことは、少人数学級などの学習環境の整備に向けての思い切った国家投資です。
Q14 犬山ではどうやって「学力」を評価するのですか?
犬山では、日々の授業の中で、確認テストや観察などによる継続的な評価を積み上げ、子どもたちの学力をとらえています。そして子どもの自己評価や相互評価をもとに指導方法を見直し、授業改善を積み重ねながら自ら学ぶ力を育むよう努めています。
Q15 ただでテストが受けられるなら、その方が得じゃないですか?
全国学力テストは、市町村や学校を評価するための資料を得るために行われる調査であり、国が無料で実施してくれる学力テストではありません。国は、「全国学力・学習状況調査」実施のため、平成19年度予算に66億円を計上しました。この調査のために毎年たくさんのお金をかけるより、少人数学級や少人数授業のための正規教員を増やす予算に充てた方がよほど効果的です。
Q16 受けたいという子どもや保護者の権利を奪うことになりませんか?
この調査は、国が、都道府県や市町村、各学校が全国的にどれくらいの位置にあるのかを調べ、結果を公表し競争によって学力の向上を図るために実施される行政調査です。参加主体は市町村教育委員会であり、希望する学校が部分的に参加するものでもなく、ましてや希望する個々の児童生徒が部分的に参加するものでもないのです。
Q17 犬山の考えは分かるけど、受けるだけ受けてみてはどうですか?
「全国学力テスト」を実施して競争によって学力向上を図ろうとする考えは、豊かな人間関係の中で人づくりを進めてきた犬山の教育理念とは相容れないものです。「受けるだけ受けてみては」という安易な考えに妥協することはできません。
Q18 「全国学力テスト」を受けないと、全国から取り残されてしまいませんか?
犬山の少人数による学び合いの授業は、内部評価や外部評価によって、子どもの人格形成や学力保障に効果的であるということが明らかになっています。市内の小中学校は、「子どもたちの学力保障は、学校と地域・家庭に任せてほしい。学校は地域や家庭と連携を図りながら責任を持って子どもたちに学力をつけます」という意気込みで、子どもたちの指導に当たっています。
Q19 「全国学力テスト」を受けないと高校進学のときに困りませんか?
「全国学力テスト」の結果が進路指導に影響を与えることはまったくありません。市内の中学校では、生徒や保護者の希望を最大限に尊重しながら、進路指導を進めています。学級担任と進路指導担当の先生が中心となり、学年会や進路指導委員会などで十分に協議しながら進路指導を進めています。また、犬山の小中学校を卒業した子どもたちは、犬山の小中学校で育んだ自ら学ぶ力を最大限に生かし、高校・大学や社会で立派に活動しています。
Q20 外国の教育改革はどうなっているのですか?
20年以上も前、イギリスでは学校間の競争によって学力を向上させようと、全国学力テストを実施しました。その結果を公表し、学校選択制を全国に拡大しました。児童生徒の集まり具合で教育予算に差をつけました。その結果、学校間の競争が激化し、学力の学校間格差が拡大しました。しかし、国際的な学力調査の結果でも、イギリスは決して世界の上位を占めてはいません。イギリスでは、全国学力テストに参加するのをやめたり、結果の公表を取りやめたりする地域や学校も出てきました。一方、フィンランドでは競争原理を廃止した教育改革が進められました。その結果、フィンランドの子どもたちの学力は国際的な学力調査で世界の上位を占めるようになってきました。今、日本で進めようとしている教育改革は、問題が多いと言われているイギリス型の教育改革なのです。
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