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かけがえのない子どもたちを
“あたりまえの教育”で育てる
 
牧野恵子(犬山市在住の保護者)
 
 
 我が家は長女が二十歳、次女が中三です。長女の小学校入学のとき犬山に転居しました。犬山の教育改革は長女が小四の時に始まりましたが、共働きで日々の生活に追われ学校教育について関心をもつゆとりがありませんでした。学校へ顔を出すのは参観日と懇談会くらいでした。勉強も学校にまかせきりでしたが、長女は特別問題もなく中学・高校へ進みました。
 今振り返ってみると学校にお任せで安心していられたのだと思います。各学年で良い先生に恵まれ、中三の志望高校を決める際には家庭訪問していただき「決して親の押し付けでなく子どもが希望する学校へ行かせて下さい」とおっしゃって頂いた言葉が印象的でした。
 
夏休みに入ると「つまらない」
 
 次女が小学校入学の時に仕事を辞めました。総合学習が盛んになった頃で親として手伝いや参観で何度も学校へ足を運ぶようになり、犬山独自の教育改革について具体的に知るようになりました。
 まず驚かされたことは子どもの欠席がとても少ないことでした。次女は小学生の頃から中学生の今も、夏休みに入る度に、「つまらなーい」と言っています。私の学校の頃には考えられないことでした。学校が居心地の良い場所、家庭とは違った意味で心を開放できる空間となっているからでしょう。何度も授業参観をしましたが、普段と変わらず自由に発言する子どもたち、子ども同士のディスカッションにより結論を導く授業形態、なるべく全員が発言できるようフォローされる先生の様子などに感心しました。
 少人数に分かれての授業も新鮮でした。子ども同士わからない事を教え合い、また皆で意見を出し合いグループの意見として発表します。集中力が求められ。ぼさっとしているひまがありません。
クラスごとではTTといって複数の先生で授業を見る授業もあります。補助の先生が子どもたちの様子を観察し、個々につまずいているところをチェックしますので子どもたち全体の理解度アップに大いに役立っていると思いました。
先生が教室に二人いて子どもたちの集中力も増しているように感じられました。習熟度別でなく、様々な工夫でクラス全員のレベルアップを図ることにより、より高度の疑問・考えが生まれる授業を目指すことはとても大切なことだと思いました。
 
地域ぐるみで子どもを育てる
 
 また、犬山では地域ぐるみで子どもを育てようと年齢を問わず多くの大人が地域の学校とかかわりを持っています。小学校のOBとなった私は、図書ボランティアとして読み聞かせをしています。子どもたちの聴く姿勢、感性、集中力にはいつも驚かされます。
 先日一年生の教室で小さなできごとがありました。まだ学校になじめないらしくランドセルを背負ったまま泣いている子がいました。どうするかと見ていると、すでに席に着いていた子が何人か近寄って来ました。ランドセルを降ろすのを手伝う子、励ましの言葉がけをする子、と入学後一ケ月にしては見事なチームワークでした。無事席に落ち着いたところで十分間の読み聞かせをしますが、「えーもう終わりー」の声が聞かれるのはこの日ばかりではありません。学校からも読み聞かせだけでなく教師とは異なった視点で子どもたちと対話して欲しい、と要望されています。短い時間ですが子どもたちと、お話の感想などいろいろおしゃべりしています。
 犬山には特別な教育はないと思います。限られた予算で先生を一人でも多く採用する。クラス人数・授業形態・副教材を工夫し全体の学力を伸ばすことを目指す。地域学習を重視する。地域の大人たちが持てる能力を提供し学校を応援する、学校も地域の力を積極的に受け入れ活用する。学校の内と外で、地域のかけがえのない学校と子どもたちを育てる。犬山では行われているのは、そんなあたりまえの教育だと思います。
 
 
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