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学力テストで、学校と教育の質を
変えさせてはいけない |
杉浦洋一(子ども全国センター事務局長)
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日本中の小学6年生と、中学3年生を対象とする全国学力学習状況調査(全国一斉学力テスト)の4月24日実施に向けた準備がすすめられています。
国連子どもの権利委員会が、「極度に競争的な教育制度の改革」を繰り返し日本に勧告したことに挑戦するかのように、財界と政府は、競争と評価と選択による「教育改革」を公然とかかげ、その流れの中で「全国学力調査」の実施を位置づけてきました。
全国一斉学力テストによる、子どもと学校の序列化は、学校と教育の質を変えることにつながります。すでに、一斉学力テスト、結果公表、学校選択制を実施している地域では、授業をつぶして「過去問」(過去の問題)練習、冬休みにも大量のドリルの宿題、夏休み短縮や土曜授業などの教育の歪みがすでに数多く見られます。「自分の市は、最低の成績だ」と嘆く子や、試験当日「私が行ったら(学校の順位を下げるから)悪いよね」と登校をしぶる子が生まれています。学校選択制と一体となり、入学者ゼロの学校まで生まれました。競争と、序列化・格差づくりの教育が強められ、子どもたちは傷つき、学校と教育の質が変えられる動きが始まっています。
全国の小学6年生、中学3年生、約240万人に対して、国語、算数(数学)のテストとともに、家庭情報を詳細に聞く質問紙調査が行われます。昨年末に行われた予備調査の質問紙調査では、「朝食を毎日食べている」「家に本(教科書、参考書、漫画、雑誌を除く)が何冊くらいあるか」「一週間に何日、学習塾に通っているか」「家にコンピュータはあるか」「保護者は美術館や劇場での芸術鑑賞によく連れて行ってくれるか」「保護者は授業参観や運動会などの学校行事によく来るか」をはじめとする詳細な項目について、それぞれ4段階で回答させています。
民間委託の大問題
学力テストは民間企業に委託し実施されます。小学校は進研ゼミで有名な(株)ベネッセ・コーポレーション、中学校は(株)NTTデータが旺文社グループである教育測定研究所と連携して実施します。ベネッセ・コーポレーションは、教科、質問紙すべてに個人名まで書かせ解答・回答用紙を集約するとしています。NTTデータは、個人名を記入した用紙は学校保管とし、学校名、クラス名、出席番号などをデータとして把握するとしています。
日本中のすべての子どもたちの成績と、詳細な家庭情報を、営利企業である受験産業が掌握するという大問題がおこります。すでに東京では、教材会社から「お宅のお子さんの都内順位を教えましょうか」との電話勧誘があったと報告されています。
これらデータを国家が握る問題も大問題です。アメリカでは、貧しい地域の家庭の子どもたちに、「大学に行けるから」と執拗な軍隊のリクルートがされている実態も報告されています。
今回文科省がかかげる全国学力学習状況調査の目的からは、子どもたちの個人名を必要とする結論を導き出すことはできず、個人情報保護法に違反します。文科省は、企業の個人名把握について、結果を個人に返すためと述べていますが、そのためであればコードナンバーで十分です。まして、4月に行なったテストの結果を9月に子どもに返しても、何ら教育的意味はありません。
日本の子どもたちの学力状況の調査であれば、抽出調査で十分であり、子どもたちのつまづきや学習課題の把握であれば、最も身近な子どもと教員の関係でなされるべき課題です。
今回の調査は、すでに愛知県犬山市以外の全区市町村教育委員会が実施を文科省に報告していますが、「実施をやめよ」「個人名を書かせるな」の運動が各地で展開されています。すでに多くの矛盾が噴出している全国一斉学力テストを、一日も早く中止させるために私たちは粘り強くとりくみをすすめようと思っています。
同時に、子どもたちに育てたい力を確かめあいながら、教職員・父母・住民が力合わせて、地域での共同の子育て、学校づくりをすすめようとしています。
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